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金星と地球は隣り合い、大きさも似かよっていることから兄弟星と言われております。ところが、地球は青い海や白い雲に覆われて美しく輝いて見えるのに、金星は硫酸から成る厚い雲に全面覆われて単調な鉛色に見えます。そして、その雲の下には、台風の10倍もの猛烈な風が吹き、生物が住めない500℃近い炎熱地獄の世界が広がっております。

金星探査は冷戦時代から米ソが競って行いましたが失敗の歴史で、結局、現在地球に金星表面の観測データを送っている金星探査機は、2005年11月9日に打ち上げられ2006年4月11日に金星周回軌道に到着した後、5月7日に観測用軌道に乗った欧州宇宙機関 (ESA)のビーナス・エクスプレスだけとなっております。日本では、PLANET-C計画によりこれまでの米露欧での経験を生かして、画期的な観測用カメラを搭載した「あかつき」が、今年5月に打ち上げに成功したH2A17号ロケットから切り離されて金星に向かっておりました。

人工衛星の場合は、ロケットを切り離して所定の高度に達してから人工衛星に搭載されているエンジンを稼働して地上と水平の方向に第1宇宙速度のV1=√(GM/R)=7.9km/s にして地球から受ける重力と人工衛星が持つ遠心力をバランスさせて地球の周回軌道に乗せます。今回の「あかつき」のように惑星探査機の場合は、探査機を第1宇宙速度V1を越えるⅴ速度にしてまず地球を離脱させる必要があります。


但しその場合、地球離脱してから金星の軌道に沿って楕円軌道を描いて所定の位置で金星と合流するようにⅴ(=12.1km/h)を決める必要があります。金星の平均公転半径は1.08億㎞、地球の平均公転半径は1.49億㎞、従って金星と地球の最短距離は約0.4億㎞となります。仮に時速1,000㎞の旅客機でこの最短距離をもって地球から金星まで行くとしても40,000時間=4.5年もかかってしまいます。

しかし「あかつき」の目的は金星に激突させるのではなく金星を周回する金星の衛星にすることですから、地球を離脱してから地球の公転軌道に沿って飛行し、金星に接近したら金星の公転軌道に乗ってある高度に達したら減速して金星の周回軌道に乗せる必要があります。そのためには地球の公転の半周分をほぼほぼ地球の公転速度で飛行させねばなりません。

ここで、地球の公転速度=10万km/h=30km/s です。我々を乗せて地球は、実に新幹線の約400倍の猛烈な速度で太陽の周りを燃料無しで飛行している事実に改めて驚かされれます。結局「あかつき」は予定通り上図の軌道に乗って打上げの5月21日から半年弱の171日を要して12月7日に所定のの位置に到着しました。

金星は地球より僅かに小さい分、重力が小さいので同じ高度なら地球での第1宇宙速度より小さくする必要があります。そのために、「あかつき」に搭載されているエンジンを逆噴射させて減速指令をだしました。ところが残念なことに、姿勢異常検知システムが誤作動してエンジンが停止し所定の減速が得られませんでした。

この結果、「はやぶさ」は金星の周回軌道に乗らずに太陽の惑星となって楕円軌道を描いて現在、金星から遠ざかりつつあります。そして、6年後に再び、金星の公転軌道に乗りますので残っている燃料を使って逆噴射をかけて金星の周回軌道に乗せるチャンスが有るとJAXAは言っております。ただ、その際に今回のように、姿勢異常検知システムが誤作動しないように修正する必要が有りますが、何とかそれまでに対策を立てて成功に導いてもらいたいものです。

「あかつき」には、異なる波長の光で見るカメラが5台搭載されております。金星の表面を撮影する時は、カメラを一斉に同じ方向に向け、それぞれ違う高度の大気を同時に捉え、2時間に1回写真を撮ります。長期連続して撮影することによって、大気がどのように循環しているかを動画で見ることができます。カメラごとにデータを見るだけでなく、5台のカメラの画像を比べることにより異なる高度の現象の違いを分析することができます。

このようなデータを分析することで、冒頭に述べたように、地球と同じ時期に隣り合って誕生した兄弟星の金星が何故、地球とは似ても似つかぬ過酷な環境を持つようになったのかを知る手掛かりが得られる可能性が有ります。金星が現在のような過酷な環境を持つように至ったかを説明する学説として、私が勝手にその名を付けた「二酸化炭素フリー説」が有ります。

これは、金星も地球も誕生当時は全く同じ環境だったのに、ある現象を契機に金星では二酸化炭素が地球の30万倍まで増え続けたのに対して、地球では二酸化炭素の海水への溶解、更に溶解した二酸化炭素が炭酸塩として固定化されたり、植物の炭酸同化作用で分解されたりして、二酸化炭素がフリーにならずにその増加が制限されたの仮説が基になっております。現在の地球の大気中の二酸化炭素だけが金星の二酸化炭素の濃度になったとすると、金星の大気の組成に近くなることからもこの仮説が正しいように思えるのですがまだ立証されておりません。

金星が大量に存在する二酸化炭素による温室効果によって高温になっていることから、「二酸化炭素地球温暖化説」が立証されたとの意見が有るとすれば、それは正しくないと思われます。何故なら、二酸化炭素だけでは、現在の金星の500℃近い温度を説明出来ないからです。つまり金星に微量に存在する水蒸気による温室効果を認めざるを得なく、逆に金星より遥かに多く存在する水蒸気の温室効果を無視している「二酸化炭素地球温暖化説」の誤りが立証されるとも考えられます。

金星探査によって金星の大気成分や、地表の元素組成を詳細に調べることによって地球誕生だけでなく温室効果のメカニズムを解明することで、現行の「二酸化炭素地球温暖化説」の誤りが立証されて、地球と人に優しい「地球温暖化説」が誕生することが期待されます。まさに、金星は地球の反面教師のような存在であるが故に、その探査は単に好奇の対象に留まらず人類の将来のために必要です。もし、今回の失敗で関連予算を削減するならば、そのような政権に明日は無いと心得るべきです。






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